4月4日(加古川→岡山)
泣いても笑っても今日が最終日。日程的にこれ以上は辛いし、泊まるところのあてもないので今日で自転車旅行は打ち切りとなる。九州上陸が果たせなかったのは残念だが、元々無理な予定だったし、ここまで来れただけでも上出来だ。
阪和線の一番列車で出発。福知山線に乗るSAN氏とは大阪駅でお別れ。私は古びた113系快速電車で加古川駅へ向かう。
加古川からは神姫バスに乗る。バスの運転手に言われた、尾上の松に一番近いというバス停でおりる。しっかり迷って尾上の松駅に到着。自転車を取ってきて最後の出発。時刻は8時02分。
このあたりの国道2号線は大阪方面行きのみの一方通行。自転車は一応車両なのでまずいのだが、歩道を最微速で通行する。あとで分かったことなのだが、山側に国道2号がもう一本あるので、こちらに門司方面行きはあるのだろう。
高砂市を通って姫路市内に入る。播但線をアンダークロスして市街地に入ったとたん、またも国道2号は大阪方面のみの一方通行になった。代替道路は見あたらない。これまたあとで分かったことなのだが、市街地を大きく南へ迂回するように国道2号がもう一本走っている。山陽道に入ってからは地図無しの走行なので、国道の標識のみが頼りである。再び歩道を最微速運転となる。
郊外の公園で、母が作ってくれた弁当を食べる。こういう誰もいない小公園、実は自転車旅行の際、便利である。極めつけは、徹夜明けのとき、寝たこともある。食べ終わったとき、母から電話が入る。携帯電話の充電器を置いていったが大丈夫かという電話。今日は最終日なので意図的に物を置いて行って軽量化したのであって、忘れ物ではない。
太子町内で国道2号大阪起点から100キロ地点を通過。これが最後のジャストのキロポストになるはずなので写真を取っておく。しばらく行った郵便局で軍資金を追加。
竜野から相生にかけては、バイパスのようないい道路に恵まれすっ飛ばす。11時12分、相生駅の裏を通過。岡山までは新幹線であと一駅である。
新幹線は相生トンネルで山をぶち抜いているが、国道2号は山陽本線とともに山に分け入っていく。有年駅で、「SAN−IN」とかいうジョイフルトレインが停まっていたので、入場券を買って撮影。有年から先国道2号は山陽線と別れ、船坂峠へと登ってゆく。峠手前の正午になったので、ミニストップでお昼にする。仙台から走ってきて数々の峠を越えたが、いよいよ最後の峠である。路面凍結の仙台が嘘だったように暑い日となった。
次第に上り坂になり、まず鯰峠という小さな峠を越える。赤穂市から上郡町に入るがことになるが、赤穂市も上郡町も、中心部からはずっと離れている。再び登りになり、登り切ったところで船坂トンネル。鈴鹿峠と同じで一番上はトンネルになっている。船坂トンネルは車両専用だが、自転車はれっきとした車両。堂々と通る。箱根、鈴鹿を越えてきた者にとってはあっけないくらいだった。岡山県に入ると三石第一、三石第二とトンネルが続く。トンネルが終わると下り坂である。
山陽自動車道の備前インター付近でSAN氏から電話が入る。鳥取について、自転車で砂丘に向かっているらしい。こちらは無事に岡山県入りしたことを伝える。
新幹線の下をくぐる。ちょうど6両編成の0系が通過してゆく。走っていく新幹線を見ると、どうも「鉄道の日記念切符」のCDに入っていた500系の走行ビデオの景色によく似ている感じがする。ここで撮ったのかなぁとなんとなく考える。
備前市市街地に入る。JRで言うと山陽線ルートから赤穂線ルートに入ったことになる。赤穂線の西片上という無人駅で休憩。赤穂線も相生から播州赤穂は列車が多いが、このあたりはほとんど列車が来ない。
JR赤穂線と新幹線に挟まれて西へ進む。6両の新幹線を見ると、西へ来たなぁと感じる。少し前までは緑の新幹線を見ながら走っていたと思うと、本当、よく走って来た。
長船町内に入ってすぐ、吉井川を渡る。いよいよ自転車旅行も最後の市、岡山市に入る。市中心部まであと20キロ。自転車に乗って走るだけの毎日を思い出すとちょっと寂しい感じがする。渡ってしばらく行くと国道2号岡山バイパスと分岐。広島、山口方面へ行くのはバイパスの方に行かねばならない。本当ならここでバイパス側へ行っていたと思うと寂しくなるが、市中心部へと進路を取る。
デオデオを発見し、中国地方へ来たなぁと実感する。信号が多くなる。上道駅前のローソンで休憩。あと10キロ。すんなり走れば20分ほどで自転車旅行は終わってしまう。ここに来て、九州に行けなかったことが悔やまれてきた。大学卒業という転機だからこそ出来た。もう再びこんなことができるほど暇にはならないだろう。暇になったときには体力が追いつかないだろう。東海道を走りきるのは出来た。135度線を越えるのもできた。でも九州は遠かった。自転車旅行を終わるのが辛くて、自然とスピードは落ちていた。
旭川を渡ると岡山市中心部である。大雲寺交差点で国道2号とはお別れ。豊橋で撮ったように、国道と路面電車の組み合わせを撮影後、国道2号をあとにする。総社方面へ向かう国道30号で柳川交差点まで行き、路面電車と一緒に曲がって駅前の広い通りへ出る。奈良のつかなな氏に電話して、携帯電話・PHS資料を貰える店を聞き、駅近くのデオデオでそれをゲット。それが終わるといよよいよ岡山駅へ向かう。
岡山駅の駅名標と自転車を入れ、写真を撮ろうとしていると、ガードマンがやってきて、シャッターを押してくださると言う。撮影が16時52分。そのまま駅の入口まで自転車を押して行き、分解。道路時刻表によれば仙台から1097.4キロ、13日間に渡る卒業記念旅行は終わった。自転車は泥だらけ。ライトはすでに点かなくなり、仙台で替えたばかりのブレーキシューはほとんど無くなっており、1100キロのすごさを物語っていた。
仙台から岡山へ自転車で行きましたと言ったときのみんなの感想。
ぼなんざの店長氏
「岡山?俺だったら500系『のぞみ』で行くなぁ。」
金沢のN氏
「あほやなぁ。」
東北大での研究室仲間
「院の研究室とか行かなくていいのか?」
とまあ、皆様から涙がこぼれるようなコメントを頂き、自転車旅行は終わったのでありました。
大阪梅田新道から100キロ地点にて
国道2号を走る路面電車
岡山駅前にてAsaPi!