終わりを考える

   165系

<解説>
 直流急行電車を代表する電車である。153系を出力アップし、勾配線区用に抑速ブレーキを装備して誕生した。1962年登場。片開き2扉、デッキ付き。座席はクロスシート。[資料映像]

<現状>
 現配置区は上沼垂・新前橋・幕張・田町・三鷹・長野・静岡・神領・宮原・日根野である。このうち幕張・三鷹はジョイフルトレインのみ(幕張の「なのはな」は運転終了)。田町・宮原は運用上は167系として、長野は169系(すでに運転終了)として使われており、それぞれの形式の不足分の補充と考えられる。上沼垂が比較的新しい車両が多いが、あまり関係無く廃車されている。新前橋・幕張・田町・三鷹・長野・静岡・宮原の各区の165系は定期運用が無い。

<予想>
 ずばり、最後まで残るのは阪和線・紀勢線の新宮夜行とそれに付帯する運用と見た。つまり日根野区のATS−P取り付け車である。上沼垂の「ムーンライトえちご」車も捨てがたいが、「こまくさ」廃止で485系の流入や車内設備に不評の多い185系が流入してくることが考えられ、安泰とは言えない。日根野と上沼垂以外は今年の改正で定期運用を失うはずである。一番新しい車両でも1970年製ということから、すでに置き換え車両の面子は揃っている感じになっている。
 各社の165系がどのように置き換えられて行くか予想してみる。
 まずJR東日本である。上沼垂(ムーンライトえちご・フェアウェイ・アルファ)、「ムーンライト」編成と「アルファ」編成はしばらくは大丈夫だろうが、その他は全滅が決まっている。ただ1編成、車両更新が終わっていたK2編成のみが新前橋へ転属する。「ムーンライトえちご」を置き換えるのはおそらく耐寒耐雪装備の185系200番台か485系1000番台。485系1000番台に置き換えれば秋田直通も可能になるし、「ひたち」で485系の消えた首都圏で、再び485系が見られることになり、それはそれで喜ばしい。ちなみに「ムーンライトえちご」は夜行急行「佐渡」の復活版ともとれ、165系にとって最後の優等運用とも見ることができる。「アルファ」は485系改造のジョイフルトレインになると思われる。新前橋(波動用)は定期運用を持っていない。車両更新も済んでおり、当分はこのまま残ると思われるが、「踊り子」か新特急系統に新車が入れば余剰になった185系200番台で置き換えられる可能性が高い。165系は基本編成が3両、185系200番台は7両と、185系200番台の方が柔軟性には劣るが、実際には165系も6両以上で運転することが多いので、185系200番台のサロを外して6両編成にすれば充分用は足りる。三鷹(パノラマエクスプレスアルプス)は先が短いと見て良い。すでに1年前に改造された幕張の「なのはな」は運転を終了している。「なのはな」と同様、485系改造のジョイフルトレインに置き換えられると思われる。
 次はJR東海。165系を所有している3社中、真っ先に消えるのがJR東海だろう。静岡(ゆうゆう東海・その他)の「ゆうゆう東海」車は今年中に消えると言われている。313系の投入により、大垣から311系・117系が流れてくることも考えられるし、373系もあるので代替車には不足はない。何故か1両だけ残っている青帯のグリーン車サロ165−106が謎だが、動態保存の意味あいが強く、もう走ることはないと思われる。神領(中央西線・関西本線)は定期運用を持っているが、これも313系投入までである。元々中津川以北の閑散区間での運用が多いため、313系ワンマン仕様車と大垣から玉突転配された117系に置き換えられるだろう。165系が全廃されるかどうかは分からないが、臨時列車運転用としては、165系と比べればずっと新しい381系がすでに定期運用を離脱し4両編成を組んでスタンバイしているので、特に残す必要もない。どうしても残すとすれば大垣夜行続行臨だが、これだって381系・373系・117系・113系などを使える。JR東海は、交代の役者が揃っているので、最悪のシナリオとして、99年中にJR東海から165系消滅というのもあり得る。
 最後は車両を大切にすることで有名(?)なJR西日本である。日根野(阪和線・紀勢本線)であるが、運用を縮小するものの最後まで残るだろう。今年の223系追加増備によって、113系が阪和線から追い出され、紀伊田辺以南の運用に入ると思われる。ATS−P非装備車は危ない。もっとも紀伊田辺以南から先に追い出されるのは105系だろうが。ATS−P装備車の2運用(新宮夜行で新宮に行く運用と、紀伊田辺で折り返す運用)は置き換えにくい。夜行であるという関係上、どうしても113系は入れられないだろう。かつての上諏訪夜行のようにセミクロス車を夜行に使った例も無くはないが、釣り客という固定客がいて、かつては寝台利用者もいた列車に113系はきつい。かといって、新宮夜行は阪和線内で最終の和歌山行き快速でもあるので、381系など入れたら大混乱になることは間違いない。当分の間は、ほそぼそと2運用だけ165系が持つ状態が続くだろう。日根野の165系は団体や臨時の運用も多いが、これは381系のモノクラス編成に任せればよい。本当に165系がぼろぼろになって使いものにならなくなったら、仕方ないので381系に置き換え、天王寺23時発の快速は223系か103系で和歌山まで走らせ、新宮夜行は阪和線内ノンストップで続行させるという形を取るだろう。
 とまあ、予想してみた。定期運用が上沼垂「ムーンライト」車・日根野ATS−P装備車のみになるのは目前である。


 意見・感想・反論は掲示板でお待ちしております。