終わりを考える

   24系客車

<解説>
 最新のブルートレイン車両である。1973年登場。翌1974年からは2段式寝台のマイナーチェンジ車、24系25形も登場している。折り戸1扉、デッキ付き。A寝台は2段式、B寝台は3段式で登場したが、25形ではA寝台は一人用個室、B寝台は2段式となった。現在では24形のB寝台も2段式になっている。電源車を必要とする集中電源方式。

<現状>
 現配置区は札幌・尾久・青森・宮原・京都総合・下関・熊本・鹿児島である。担当列車は札幌が「北斗星1・2号」、尾久が「北斗星3・4号」「出雲」、青森が「はくつる」「あけぼの」「日本海2・3号」、宮原が「銀河」「日本海1・4号」、京都総合が「彗星」、下関が「あさかぜ」、熊本が「富士」「はやぶさ」「なは」付属編成、鹿児島が「なは」基本編成である。臨時列車の「エルム」「夢空間」は尾久が、「トワイライトエクスプレス」は宮原の担当である。もっとも新しいのは尾久に所属する「夢空間」の3両である。JRが誕生した際、国鉄から継承した24系客車は544両。一方1997年度末現在の24系客車の総数は549両。実は14系や12系からの改造が多いため、増加してしまっているのである。ほとんどが車齢20年を数えようとしている今でもほとんど減少していないというのは、非常に珍しい例である。なお1998年度は「瀬戸」分が純粋に減少したため、JR化時点の数を初めて割った。

<予想>
 最終的に残るのは、「夢空間」の3両と、それらと編成を組むためのグレードアップ車が10両ほどという形になるだろう。つまり尾久所属の車両が最後の24系になると思われる。しかしこれは臨時列車用として残るものであり、定期運用はもっと早くに消える。24系最後の定期運用がどこになるかを予想しよう。
 真っ先に陥落するのは下関の「あさかぜ」である。すでに同僚だった「瀬戸」は285系「サンライズ」に置き換えられている。臨時列車「サンライズゆめ」が「あさかぜ」をおびやかすように走っており、「あさかぜ」が285系化される日も近い。もっとも車齢としては若い車両が多いので、宮原へ転属の上、宮原の若番車が廃車となるであろう。続いて「銀河」も陥落する可能性が高い。「銀河」は急行だが乗車率は「きたぐに」以下でガラガラである。JR西日本としてはてこ入れしたいに違いない。特急格上げになるかどうかは別にして、285系化される可能性は充分にある。
 次に消えるのはJR九州の「はやぶさ」「富士」だろう。現在は13両の長大編成で走っているが乗車率がそれほどあるとは思えない。何年も前から両列車の統合が言われている。統合するとなれば集中電源方式の24系は使いにくくなる。長崎の14系に置き換え、両列車の東京〜門司を統合すれば効率的である。14系の不足分は熊本の24系の改造で補えばよい。残るのは「なは」運用のみである。
 JR東日本・JR北海道がどのような動きを見せるのかが分からない。「出雲」はすでに「サンライズ」にはかなわない状態なので、24系の調子を見て、老朽化してくれば列車ごと廃止になるだろう。対東北・北海道系統では、カシオペアが当たれば増備の上、「北斗星」引退も考えられるが、オールA寝台でそれほど客が乗るとも思えず、それも考えにくい。かといって北海道新幹線開通まで24系を使いつづけるとは考えられないし、夜行列車全廃も考えにくい。電車置き換えも「北斗星」がある限り難しいし583系であった「はくつる」をわざわざ置き換えたことから見ても、そのつもりはないようである。とすると有り得るのはJR北海道とJR東日本が共同開発で個室B寝台中心の新車を作るというパターンである。このパターンの場合、「北斗星」「はくつる」「日本海2・3号」が置き換えの対象になるであろう。東北新幹線青森延伸が行われると、おそらく「はくつる」は廃止、「北斗星」は上越・羽越経由になるので、その際に「はくつる」の余剰車が「あけぼの」に回って24系がJR東日本定期列車から消えることになる。
 同様に新幹線という観点から見れば、九州新幹線の開業とともに「なは」が廃止になると思われる。となるとわざわざ廃止になる「なは」にJR九州が新車を入れるとも思えないので、そのまま廃止の前日まで24系で運行することになるだろう。
 「トワイライトエクスプレス」は現在24系だが、「カシオペア」に対抗して新車を導入する可能性は充分にある。室内は285系をベースにして客車化すればよい。E26系が増備されるかによっても変わるが、看板列車の一つだし、いつまでも24系で走りつづけるとは思えない。「トワイライトエクスプレス」「日本海2・3号」が新車に置き換わったとなると、「日本海1・4号」の客はぐんと減ることは容易に想像付く。「トワイライトエクスプレス」と共通運用の新車になるか、さもなければ廃止もありうる。
 こうして見ると、消去法で、24系定期列車の最後は「彗星」ということになった。車両は京都総合持ちだが、宮原の「トワイライトエクスプレス」が置き換えられれば、旧「トワイライト」車を利用して宮原持ちとなる可能性も否定できない。「彗星」のみが24系になった時代には東北系統、日本海系統のブルートレインがすべて新車に置き換わっているはずなので、見劣りを防ぐためにも旧「トワイライト」車で運転されている可能性は高い。東海道ブルートレインは14系化されているはずだが、これがそのころどうなっているかも興味深い。
 と予想してみた。「あさかぜ」「銀河」「はやぶさ」「富士」「出雲」からの撤退はそう遠くはないはずだ。


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