まずは、以下のポスターを見て欲しい。
文字が読めるだろうか?
「平成11年3月18日、常磐線のいわき〜仙台間に701系車両を投入します。今回の投入で沿線の皆様にはとても静かな車両で快適にご利用いただけます。」
多くの人が唖然としたはずである。
と主張していたら、さらにつっこみが入った。
「デッキが無い時点で静かではない!!」
701系導入以前に走っていた車両は455系と717系である。このうち455系は急行形の車両でデッキがあり、客室内にホームの騒音などが入ってこない。一方、701系はドアが開けばホームの騒音丸聞こえだわ、ドアが開閉するたびにドアチャイムは鳴らしてくれるわ。デッキ付きはデッキ付きで乗り降りに時間がかかり、それはそれで支障はあるのだが、どちらが静かかといえばもちろんデッキ付きの方が静かである。
結論、701系は「静か」という言葉とはほど遠い電車である。
JRになってから投入された719系(写真左)も、ちゃんとロングシートの袖部に透明の風よけ板が付いている。このおかげで、ドアからの冷たい風が直接吹き込むのを防ぎ、ロングシート部でも快適に乗ることができる。しかし701系(写真右)は風よけがない。ロングシートの袖部が少し高くなっているがそれでも上半身に冷たい風が当たる。一応ドアは半自動だが、車外に「閉」ボタンが無いので降りていく人は開けっ放しということが多い。
じゃあ寒いかというとそうではない。この701系の椅子、座面が熱せられるタイプの暖房なのである。床暖房みたいで暖かいように感じるかもしれないが、長時間座っていると熱い。人曰く「低温やけどの椅子」。このように注意書きを付けないと…。
一応頭寒足熱で逆よりはまだマシだけど、「快適」っていうのは、保温がちゃんとなされて全体的にぽかぽか暖かいのを言うんでしょ?上半身には寒風が吹き抜けて下半身は熱せられるのは「快適」とは言わないと思うぞ。JRも719系みたいな快適な車両を作った実績はあるんだから、それを生かすべきだと思うんだけどなぁ。
実績を生かしていないというのでは椅子の件もある。
JR東日本は、E217系などに、通称「姿勢の良くなる椅子」(写真左)を導入してきた。座席は独特の形をしており、自然に姿勢良く座れるという代物である。賛否両論なのだが、ある人は「1時間半乗り続けても全く疲れなかった。」と評価している。(もっとも座面が硬いので、尻が痛くなるという声もある。私はこの「姿勢の良くなる椅子」に1時間以上乗ったことが何度かあるが、尻が痛くなったのは体調が悪かったただ1回だけだった。)この椅子は、701系導入以前すでに実用化された実績を持っていた。しかし701系の座席(写真右)はその座席ではない。中途半端に柔らかく落ち着かない構造になっている。冬だと前述の通り加熱されるので熱くてとても不快である。209系、E217系、E501系と、首都圏を走る電車にはすべて「姿勢の良くなる椅子」を採用したのに、東北を走る701系には採用しなかったのである。東北地方への差別のように見えるのは私だけであろうか?
と主張していたら、さらにつっこみが入った。
「ロングシートがそもそも快適じゃない。」
車窓を楽しみたい人にとって、首をねじ曲げないと窓の外が見られないロングシートは不便である。それでなくてもロングシートは着席定員が少ない。常磐線に以前から入っていた455系×3両、717系×3両と、今回入った701系×2両で定員を比べてみよう。
形式 | 定員(着席) |
455系×3両
717系×3両 |
320(212)
366(202) |
701系×2両 | 268(102) |
着席定員は半分以下になっていることが分かる。立席まで含めた定員も減っているので混雑率もアップする。混雑した列車に立たされるのと、空いていて座れるのとどちらが快適か?答えは簡単である。
結論、701系は間違っても「快適」とは言えない。私の知る限り最悪の電車である。
少なくとも、「とても静かな車両で快適にご利用いただけます。」などと「嘘、大袈裟、紛らわしい」広告を出したJR東日本水戸支社は公共広告機構訴えものだし、客をなめているか日本語を知らないかどちらかしか考えられない。
最近、JR東日本はすぐ列車を止めるし、多くの社員のやる気は無い(ごく一部の社員は大変やる気があり熱心です)、作る車両は乗客本位ではないとあって、鉄道離れが続いている。非常に悲しい。早くまともになってほしいが、このようなポスターを作るようでは、まだまだ先は長い。